陽気な山菜せんせいたちの

“おいしい山の授業”が始まります

 

もくじ

 

昔ながらの知恵を生かして、地域の新しい暮らしをつくる山菜せんせい

山菜せんせいの由来

山に四方を囲まれた秋田県大館は、自然から暮らしの知恵を学んできました。風土が持つ特徴を活かし、ここでの暮らしに合うようにと工夫を凝らした知恵は、今も昔も変わらずに大館の人を育む存在です。

古くから蓄えた知恵に学びを得つつ、地域の新しい暮らしについて考えるために立ち上げられたのが “山菜せんせい” です。山を知り尽くした「せんせい」の知恵を活かし、山菜とそれに関わる食をきっかけに、集落ぐるみで新しい産業を創ることを目指します。

 

山菜せんせいの取り組み

山菜せんせいが取り組んでいるのは、集落に自生する山菜などに関する調査研究と、加工品製造のための試験栽培と飲食店での提供を想定したレシピ開発です。旬の短い山の味わいを安定的に供給することを目指します。

集落内に自生する山菜の分布・生育状況のほか、収穫時期などと共に、自家消費量や直売所での販売量も調査します。県内外における消費拡大のヒントになるのが、この調査研究により得られた成果です。

山を知り尽くした大館の山菜せんせいたちを取材

高岡 今日は山菜せんせいから山菜のことや山の暮らしについて教えてもらうのをとても楽しみにしてきました。山菜の販売は昔からあったんですか?

古川さん 小さい頃から山が大好きで、山菜を採りをしていましたが、当時、山菜は採って販売するものではありませんでした。結婚して仕事を辞めてから、たまたま採ったものを市場に販売してみたら売れて、自分の収入になることがわかって、販売の面白さを感じたんです。それから自分が山で採ってきたものを直売所に持って行って売るようになりました。

旬の短い山菜を一年中美味しく味わう方法

古川さん 「まずはウド・サシドリ・フキ・ワラビ・ミズなどとった山菜を茹でて塩漬けに、フキは茹でて米ぬかを入れます。米ぬかを入れるのは色鮮やかにするため。

樽に 塩→フキ→塩→ぬか→フキ と敷き詰めていく。こうしてフキやワラビを塩漬けにして、春に食べきれなかった分を乾燥させる。ただ日光に当てると、戻した時に硬くて美味しくないため、半ナマ状態でキレイに揉んでから乾燥させることで、戻した時に歯ごたえのある美味しいフキになる。

フキやワラビ、ゼンマイを塩漬けせず、湯がいてそのまま乾燥させることもある。あまり湯がきすぎて柔らかくしない頃合いで天日干しする。直射日光で乾燥させると硬くなってしまうので、半日は日陰で乾燥させる。半ナマ状態で、手で揉むのがポイント。こうして2日くらいかかって乾燥させる。塩と重石が足りないと美味しくできない。虫が入らないように密閉する。

保存方法にも個人個人のやり方、企業秘密もあるそうなので、井戸端会議では話さない秘密のやり方もある。

 

乾燥させた山菜の戻し方

乾燥したものを戻すのが大変
保存方法と戻し方がセットになっていないと、山菜を美味しく食べることができない。

古川さん 「ゼンマイなんかは、乾燥したものをぬるま湯に入れておくと、チリチリがなんとなくふやけて戻っていく。そうしたら今度火にかけて煮ると、赤い汁が出てくるので、赤い汁が出なくなるまで水を取り替えて煮続けることで、チリチリに乾燥していたゼンマイがふわっと綺麗に元通りになる。戻し方が悪いと崩れてしまう。味付けの時に柔らかかったりするから、その戻しが肝心で、難しい。300グラムのゼンマイは6倍の1800グラムくらいにまで膨らむ」

畠山さん 「乾燥したものは、戻すと量が多いので、高い値段で売られているんです。」

石垣さん 「高いのを買っても、戻すのを失敗してしまうと食べられない。なので、少し高くても、戻ったものを買います。」

古川さん 「保存法もただ黙って袋に入れるだけだと、虫がつきやすい。一番いいのは塩の入った袋に入れることだけど、私は面倒だからそのままどっと入れてしまう。」

畠山さん 「乾燥ゼンマイは高くて貴重なものだから、いっつも一年一杯。もったいないからお盆や正月など、お祝い事など大切な時にしか食べない。」

古川さん 「戻し方はぬるま湯で赤い汁が出なくなるまで水を変えて煮続ける。他の山菜でも同じです。塩抜きについて、フキはまず、米ぬかを入れてからザーッと洗って、あとは流れ水でうちの方は山水もあるから、朝に流れている水のところに入れておくとお昼に塩抜きされている。川の水で塩抜きをする以外だと、何回も水を変えないといけないので面倒。一回漬け込んだワラビなんか、真っ黒な水が出るので、ワラビを取り出して水を全部捨てて、もう一度洗って、また一から下に塩をふって糠をしくのをもう一度やる」

山菜せんせい直伝、味と香りひきたつ山菜レシピ

姫竹とさしどりの炒め物

鶏とさもだしの煮付け

姫竹が入った馬肉の煮付け

煮付けに良く使われるのがフキ
姫竹とサシドリの炒め物は山菜の懐かしい香り
キャラブキは春採れたものを甘露煮する、箸休めにいい、お酒のつまみにも

馬肉の煮付けには必ず山菜を入れる。風味を楽しむため?
香りが強いのが山ウド。それが入ってないと山菜を食べた気がしないそう
酢味噌、天ぷら、にしても美味しい、生姜和え

料理は炒め煮が多い、根元は叩き、とろとろしたものを
サシボは目が赤く、成長するとサシドリになる
きのこは塩漬けするとあたらない

サグ、ウド、ニシメ 匂い香りが良くお正月用に準備する
山菜はクマがでていて怖くて取りに行けない
クマがサクが好き。山菜の旬に食べるために活動するそう

山菜は体の毒を出す
山菜の芽などいいものをクマに食べられてしまう
ギョウジャニンニクはアイヌネギ
スズラン山菜。山菜は根を残して折れるところから折る

毎年おいしい山菜を取るために大切な”山のルール”
ー昔ながらの山のルール

できるだけ根を残すように
古川さん「ボンナという山菜があって、5本も6本も出ていると、山のルールを知らない人はみんな採ってくるの。でも私は必ず2本残してくる。そして細いのは絶対採らない。太いのだけ採って、2本は必ず残す。でも一度は行ったところにはもう入らない。2回入れば、残したもものを採ってくることになるから、今日こっち採ったら明日はこっちというように。私はそうしてます。そうしてやることで、来年もまたきちんと山菜が生えてくる。
本でているものは全部取らずに2本残す。毎年全部とってしまったら、いいものも生えてこないし、あるものも悪くなる。衰退してなくなっていってしまう。カブは絶対残していく」畠山さん「今、最近は会社を定年になってる人たちが山菜とかを取りに山に入っているので前は山菜の名人だけで採っていたが、ここもう何年かはちょっとな、早期退職だか定年退職だかの人が山に入って山のルールを知らないで山菜を採っていくから、山が荒らされているちゅうんだかな?」
ー山菜せんせいたちのおちゃめな小話
「何ついてもっていうかあんたの場合は毛虫でしょう(笑)」と賑わう山菜せんせいたち。
若いのは大丈夫だが、伸びたサシドリには毛虫がよくつくため、大っ嫌いだそう。
古川さんは毛虫が苦手だそう 「毛虫の話をしていたら体が痒くなって来た(笑)」
石垣さんは蛇が苦手
畠山さんは毛虫も蛇も大丈夫「あ、いたな〜」程度

せんせいたちの「当たり前」の暮らしは、

私たちにとっての「宝の山」

ー当たり前が特別だと気づいたきっかけ
石垣さん「当たり前だから特別だと思ってなかったんです。何もないと思っていたけど、私たちが普段食べているものや暮らし、その当たり前が他違う地域の人にとっては大館らしさであり、魅力だったとわかったんです」
「野菜でもね、銀座のシェフが10人くらいまとまって来ているんです。実際作っている畑さ行って、そのままかじって生で味見して「はぁ〜これは美味しいね」って言ったり、そう言う風にして新鮮でやっぱり環境が違うんだなって。本当に大館って寒暖の差がおっきいから、葉の色も綺麗で旨味がよく出るんです」

ーみんなに温かいおもてなしをしたい
石垣さん
「来たお客さんにあそこの母さんのあの煮付け食べたいと思ってもらえたら嬉しい」
「農家民泊の際に山に山菜をとりにご案内するのが彼女たちなんです
「山の中が怖い怖いと言いながら採ってきた山菜の皮を剥いて、この葉っぱをむいて天ぷらにすればビタミンCだとか栄養があるんだよとか、ただの葉っぱみたいなものだけども、その栄養価が高いって言うことを知った上で食べると、なんだこの草っこは?って食べるのと全然違うだすべ?笑」
「そこの山菜畑に、できればお客さんが来て収穫して、ちょっとしたキッチンでも作って、10人でも入れるような見晴らしのいい東屋で山菜を天ぷらにして食べさせてあげたいなっていう夢を持ってるんですよ。敷地も十分あるから駐車場も困りません。夢で終わらないよにいつも声に出してます。」

農地も山と同じような環境で、傾斜が強いとか、林に囲まれてるとか、そういう農地が野菜を作ったり果物を作ってもなかなかいいものができないので、いい環境のところはもちろん継続して栽培するけども環境が悪いところはだんだん使われなくなっていく。なので、山に近い環境を生かして山菜づくりを進めている。
旬な時はまず生で販売して、山菜を美味しく調理する方法や山菜の加工販売、その時に山菜を提供できるような量を確保したい。
石垣さん「もっと手軽に山の味を楽しんでもらうために開発したのが、山菜まんじゅうです」

地元でも、都会でも、山のご馳走をおすそ分け

もっと保存方法が楽で、商品として売りやすい方法がないかを研究し、開発された山菜を使った商品をご紹介

山菜まんじゅう

大館のきゃらぶき

大館のばっけみそ